昨年12月。とある施主様のお住まいにお邪魔してきました。
というのも、みずき工房の施主様たちに、お引き渡しが終わってからどのように住まわれているか、そして、今、どのように住まいづくりを振り返っているかを聴きたくなったから。
それって、やっぱり、作り手にとっては大切なお話。
自分たちのやってきたことが、どう伝わっているのか。
大工さん達にとっては、聴きたいけど聴きたくないような話かもしれません(笑)。
今回は、前職で三津浜の空き家や古民家を活用するお手伝いをされてきた笠居由実さんに、聞き手&撮影協力をお願いしました。
「大工さんたちが楽しくポジティブに家づくりをしてくれた『結晶』。住んでいて気持ちがいい。」
そう話してくれたのは、建主の板垣義男さんと奥様の奈保子さん。
田園風景が広がる穏やかな景色の中で、一際目を引くまっさらな木造の住宅。
建ったばかりのはず(2017年8月完成)が、周りの風景に馴染み、まるでもっと前からそこに建っていたかのように感じます。
大きい窓には、子供たちが楽しげにはしゃいでいるシルエットが映り、
私たちを出迎えようと、玄関の窓を拭いてくれる姿も少し遠くから見えます。
この家の住人は、板垣義男さん・奈保子さんご夫婦と3人の子供たちの5人一家。
約6年前に、横浜から奥様の地元である松山に引っ越してきました。
横浜に住んでいた頃から、家づくりを考えていた板垣さんご夫婦。
奥様の奈保子さんが、ある雑誌で野の草設計室(当時:AA studio)を見つけたことがきっかけで、今回のご自宅の設計をお願いすることになりました。
みずき工房との出会いは、それからがはじまり。
「なんだか、すごく落ち着く空間ですね。」
「来た人たちみんな、そう言ってくれます。」
そう答える義男さん。
「『楽しく仕事ができる現場』と、水木さんはじめ、大工さんたちがそう言って、本当に楽しくポジティブに仕事をしてくれました。間取りや設計はもちろんだけど、そういう楽しい『気』が入っているからか、住んでいて気持ちがいい。」
板垣さんご夫婦は、ご自宅についてそう話してくれました。
そんな大工さんたちの、まっすぐな熱い想いで建った板垣邸。
「この家づくりを通じて、自分たちの暮らし方や生き方が整理できました。」
と義男さんは言います。
ご夫婦にとって、どんな生活をしたいのか、どんな風に暮らしたいのか、
自分の軸となる生き方を考えるきっかけとなった家づくりでした。
自分たちが理想とする暮らしの形に、一歩近づけることができた板垣さんご一家。
「それを実現してくれたのは水木さん。」
そう話す義男さんから、建って終わり、ではないみずき工房との今も続く「つながり」が見えます。
「今でもみずき工房と関係が続いているということは、そういう家づくりをしたということ。これは、自分の生活や仕事にも置き換えられることで、人との繋がりの大切さをこのとき学んだ気がする。」
みずき工房との関係を、そんな風に話してくれました。
大工さんも、板垣さん一家も、設計士さんも、みんなで一生懸命考えて建てた家。
そんな家は、そこに住む人たちが愛着を持って日々暮らす住まいでした。
そして、家づくりは完成して終わりではなく住みながら形を変え、まだまだこれからも続いていくのです。
Written by Yumi Kasai
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